吸放湿性と湿度の調節

木材は吸放湿性に富んだ材料である。つまり ,木材には,空気が乾燥すると水分を放出し,相対湿度が高くなると湿気を吸うという性質がある。木材がどれくらい吸放湿するかを概算してみると ,その量は平均的な木造住宅で年 間ドラム缶 2本,柱 1本当たり牛乳び んで3本にもなる。相対湿度は,空気中に含まれる水分量が一定量であるときには,温度が上がると減少し,下がると増大するが,合板を内装した住宅内の相対湿度には変化がほとんど見られない。これに反して , ビニルシートで内装した住宅内の相対湿度は,外気の相対湿度と同様に,温度の日変化に対応して著しく変動している。つまり ,ビニールシート内装の住宅では,温度の上昇時に調湿効果を測る指標からの放湿がないため,相対湿度は低下し,下降時には壁面への吸湿がないので,相対湿度は上昇するのである。

内装材料が吸放湿する性質をもっていると ,住宅内の相対湿度の変動は緩和される。この能力を調湿特性と呼ぶことにしよう。すると ,木材は調湿特性のきわめて優れた材料ということになる。住宅内の相対湿度の変動の原因には,

温度に基づく場合のほかに,台所における炊事作業時に発生する蒸気,浴室のドアの開間によって 流入する蒸気,冷房や換気扇による蒸気の流出など,蒸気負荷と称せられるものもある。しかし,後者の原因は,換気扇を回したり ,窓を開閉したりすることによって,ある程度まで 対応することができるので,前者を基本的なものとみなしたほうがよい。ここでは,そのような考え方に立脚しているので,この章で使用する調湿特性という用語は,相対湿度の変動の原因が,温度に依存する場合に限定することにする。相対湿度が温度に基づいて変動する場合の,材料の応答を調べるには,吸放湿性のない材料で構成された,密閉空間の内面を利用すればよい。その空間の内面に,調べたい材料を内装すれば,住宅モデルになる。この住宅モデルの外周の温度を変化させ ,内部の温度と相対湿度を経時的に記録していけば,シミュレ ーションできる。